国際派行政学者の挑戦

慶應SFCの教員。才能ないなりに世界レベルの行政学者を目指す40代独身男(負け組)のブログ -月1回ぐらい更新-

ゴッホ展:収集家ヘレーネのいざない

来週から始まる授業に加え、これまで新任として免除されていた委員会の仕事も始まります。せわしい日々の前に、今週ゴッホ展に行ってきました!予想以上に長引くコロナ禍により、ちょうど1年ぶりの美術鑑賞となりました(T^T) (過去記事1)

 

2020年開催のゴッホ展は(過去記事2)、ゴッホ初期の作品が多かったのに対し、本展では初期から中期そして最盛期とゴッホの芸術が成熟する過程を、偏りなく流れるストーリーのように魅せてくれました。それは、世界最大のゴッホ収集家ヘレーネ・クレラー=ミュラーが私たちに教えてくれたゴッホの真の足跡でした。

 

特に印象的だったのは、ゴッホがその代名詞とも言える油絵に取り掛かる前に、3年間ずっと素描(鉛筆・ペンなど黒のみで描くこと)を続けていたことです。絵を独学で学び始めた当初より、ゴッホは油絵を描きたいと考えていたわけですが、目指すべく芸術のためにまず基礎に時間を費やしたことは天才の証に違いありません。

 

英語でも、中学レベルの単語力があれば、日常会話を通じて英語に親しむことはできます。ただ、最短で実用レベルの英語を身に着ける方法はと聞かれれば、決して楽しいとはいえない単語の暗記をし、基礎を固めることだと思います。独学で基礎が必要だと認識し、数年続けられる人は稀有です。

 

この夏は共著者やデータ収集との関係もあり、論文執筆は実質的に1本だけとなりました(過去記事3)。代わりに長年取り組もうと考えていた「ベイズ統計」の基礎の習得に、時間を費やしました。論文という目の見える成果だけに囚われない、今後を見据えた勉強の大切さをゴッホとヘレーネに教えてもらいました。