国際派行政学者の挑戦

慶應SFCの教員。才能ないなりに世界レベルの行政学者を目指す40代独身男(負け組)のブログ -月1回ぐらい更新-

ミャンマーへの想い

自分がこれまで最も多く教えたのは、日本人ではなくミャンマー出身の学生です。彼ら・彼女らはミャンマー政府から派遣された公務員で、半分以上は男性の軍人です。自分自身これまで2度ミャンマーに出張し、陸・海・空軍の本部及び軍のナショナル・アカデミー(日本の防衛大学にあたる機関)を訪れ、元教え子や幹部の方と交流してきました(過去記事1, 2, 3)。ミャンマー現地にいらっしゃる日本人でも、ここまで軍の機関に足を踏み入れた方は少ないと思います。

 

それゆえ、現在担当しているミャンマーの学生と、現状について会話するようなことはありません... というより、話題にしてはいけないと強く感じているのです。クラスの中では、他国出身の学生が悪気なく、ミャンマーの学生に対し色々質問する様子を見ますが、「ミャンマーの公務員」にも色々な人がいます。軍人と省庁所属の公務員では、立場が大きく異なるのです。しかし、彼ら・彼女らが本学にいる間は、学友として一緒に学べる環境を作るのが教員の役目だと思っています。

 

ミャンマーの政情について、自分は何かを主張するような立場にありません。ただ、言えることは、所属を問わずミャンマーの学生たちに自分が教えてきたのは、民主主義下の行政だということです。自分から三権分立、市民参加、公務員倫理の概念を学んだ彼ら・彼女らは、今何を想うのでしょうか... 平和ボケした私たち日本人には、知りえないことに違いありません。