国際派行政学者の挑戦

慶應SFCの教員。才能ないなりに世界レベルの行政学者を目指す40代独身男(負け組)のブログ -月1回ぐらい更新-

アカハラを受け入れた学生

前任地 国際大学大学院の最後のゼミ生の1人が、論文優秀賞(distinction)を受賞しました。毎年3~5名、研究科の全学生のうち約5%の狭き門です。審査過程も厳しく、指導教員(自分)と論文審査担当教員の2人が優秀賞に推薦した後、大学外部の教授(匿名)に審査が依頼され、当該教授も優秀賞に値すると認めて、ようやく受賞が決まります。

 

彼女の受賞の背景には、大きく2つの要因があると思います。まずは、もちろん本人の努力。そして、彼女が自分から指導を受けたタイミングです。国際大学1年目のゼミ生は、自分で選べず、就職前に所属プログラムの先生方が選んだ学生を引き受けました。学生の興味や性格をうまく考慮できず、自分が未熟なこともあり、指導には苦戦しました(過去記事)。2年目のゼミ生は、初めて自分で面接して選びました。とても仲の良いゼミで楽しかったのですが、優しくし過ぎてしまった部分もあり、論文指導は甘くなってしまったように思います。3年目になって、今まで出会った中で最も優秀と思える学生がゼミに入ってきてくれました。彼女となら優秀賞だけでなく、国際レベルの学術誌に論文を一緒に出版できると直感しました。彼女には、これらの目標を伝えたうえで、非常に厳しい指導になるがよいか尋ねました。度々確認しましたが、返事はいつもYesでした。出身地スリランカの公務員を対象にサーベイ実験を実施するなど本当に頑張ってくれていて、最初の目標である優秀賞も取れなかったらどうしよう(´・ω・`;)と常に不安でした。なんとか結果が出て本当にホッとしています(-。- ) フゥ

 

前任地で、最後の学生と何らかの結果を残せたのは嬉しかったです。しかし、それは自分に経験を積ませてくれた1年目2年目のゼミ生たちのおかげでもあります。最初から色々うまくできればいいのですが... 大学教員も完璧からは程遠く、学生から色々学ばせてもらっている証拠だと思います。これは現在慶應SFCで指導している学部生にも言えることです。これから多様な進路選択をする学部生は、途上国から専門的な知識を得るため大学院に留学した公務員とは大きく異なります。専門性の高い研究を押し付けることが、将来役立つとは言い切れません。試行錯誤が続きますが、1人1人と向き合って、自分ができることを探していこうと思います。