国際派行政学者の挑戦

慶應SFCの教員。才能ないなりに世界レベルの行政学者を目指す40代独身男(負け組)のブログ -月1回ぐらい更新-

国際的な教育とオンライン授業の相性

国際大学は、学生の9割以上を留学生が占める、日本では非常に特殊な大学院大学です。現在COVID-19の影響により、新入生の大半が日本に到着できていないという異例の状況にあります。自分は今週月曜から金曜まで入学準備用講座の統計入門(90分授業を毎日2回)を担当し、全てZoomを使用したオンラインで授業しました。これまで何度かオンライン授業をしてきましたが、全く顔も知らない新入生向けに授業をするのは初めてで、厳しい現実に気づかされました(=□=:)

 

学生がアフリカから東アジアまで全く異なるタイム・ゾーンにいるという状況で、教員にとって最も大きな変化は、授業の時間帯が午後あるいは夜になることです。日本時間の午前や午後の早い時間帯は、いくつかの国の深夜帯となってしまいます(=。=|||) 今週の集中講座だけでなく、自分が秋学期に担当する必修科目も、18時~21時過ぎに実施されることになりました。

 

Zoomのオンライン授業では、学生の半数ぐらいが画面に顔を表示してくれないので、5日間厳しい集中講座を終えた今も、誰を教えたのかイマイチ実感がありません(^ ^; また、対面授業であれば、教室内を歩きながら、学生がどれくらい統計の問題を解けているのか、ノートを覗き込んで確認できますd(- -) これは、本格的な授業を実施する前の予備知識として大変有用です!本学は、優秀な学生を集めるだけでなく、教育環境が整っているとはいえない途上国出身の公務員を育成する開発支援を、JICAなどから請け負っていますから、四則計算が怪しい学生などもケアする必要があります。

 

さらに、何人かのオープンな学生のZoomの背景に、自宅の様子などが映し出されたり、質問をする際に周囲の雑音なども聞こえてきます... 繊細な日本人学生では、とても勉強なんてできない環境だと思います(-。-;) オンライン授業の利点として、日本では通学の必要がないなどが挙げられていますが、途上国出身の学生の多くが自宅に十分な学習環境があるとは言えず、図書館、学習スペース、WiFi等を備えたキャンパスで勉強できることは大学・大学院に入学する大きな利点です。

 

国際的な大学院教育と聞くと、世界を繋げるインターネットと相性が良く、オンライン授業がもたらす利点が多いようにも思えます。実際、オンライン授業が実施できるからこそ、本学は今年度学生数を減らさずに生き残ることができました。しかしながら、学生が異なる国で主に自宅から授業を受けている現状では、教員にとっても学生にとっても、今年は厳しい挑戦になると痛感した1週間でした。COVID-19が一刻も早く各国で終息し、現在オンラインで教えている学生とキャンパスで会える日が来るのが待ち遠しいです。