国際派行政学者の挑戦

慶應SFCの教員。才能ないなりに世界レベルの行政学者を目指す40代独身男(負け組)のブログ -月1回ぐらい更新-

早熟のシーレと遅咲きのリヒター

今月は論文審査の結果をお知らせできると思ったのですが... 90日以内で終わるはずの審査は既に110日を超えました(´・ω・`) とはいえ、結果を自分から聞くのも怖いですし、久しぶりに美術展のレビューをお届けしようと思います!

 

エゴン・シーレは、流行り病のスペイン風邪にかかり28歳で亡くなった悲劇の天才です。コロナ渦で制約も多いですが、こうして生を全うできることは本当に幸せだと思います。

16歳でウィーン芸術アカデミー(日本でいう藝大)に入学し、17歳の頃にはグスタフ・クリムトに「才能があり過ぎる」と言わしめました。シーレは自己の内心をえぐるような自画像が有名ですが、撮影不可だったので風景画からその非凡さを解説してみます(^ ^;

冬の木に過敏な人間の神経を重ねていますヽ(゚ロ゚;)キェーッ! そんな発想浮かびます!? 20代前半のシーレはあまりに前衛的過ぎて逮捕されてしまうほどですが、20代半ばから写実的画風に移行し、成功とともに斬新さがやや失われていきます... ただ、新たな何かを模索している最中の無念の死だったと思います。

 

ゲルハルト・リヒターは、シーレとは対照的に29歳の時に出身の東ドイツから西ドイツに移住して芸術を学びました。徐々に評価を上げ現代アートの最重要人物の1人となり、90歳の現在でも創作を続けています!自分が好きな人たちw 同じ人物が制作したとは思えないほど、絵画やオブジェを含め変化に富む多様な作品を生み出してきました。

 

写実的で美しい人物画を描いたと思いきや、アウシュビッツ強制収容所でのユダヤ人虐殺を一連の抽象画により表現してみせます。80歳で描いたこの抽象画により、「自分がようやく自由になった」と述べており、70代半ばで自己最多引用数を記録する論文を出版した自分の師匠Frank J. Thompsonのようです(ちなみに自分との共著です!)。

 

自分は、シーレや将棋の藤井聡太先生のような天才たちに憧れます。しかし、10代の頃から大人たちを圧倒するような才能を持ち合わせる人間など本当に一握りです。リヒターや師匠のように、挑戦を長く続けたからこそ見える景色があるのだと思います。論文審査の結果が気になり集中できない日々ですが、たとえ駄目でもあきらめず行政研究を続けるのだから、今日もしっかり机に向かいたいと思います!