国際派行政学者の挑戦

慶應SFCの教員。才能ないなりに世界レベルの行政学者を目指す40代独身男(負け組)のブログ -月1回ぐらい更新-

論文購読は有料なのに論文審査はボランティア

今月初め研究人生4度目の論文審査依頼を受け取りました... 初めてトップジャーナルで論文審査することになったのですが、正直複雑な気分です(=。=) 論文審査(review)は国際的に活躍しようとする研究者にとって義務ともいえますが、かなりの労力と責任を伴うこともあり、自分の研究スケジュールを大幅に変更せざるをえないからです。

 

論文審査の依頼は、学術誌よりメールで受け取ります。大体自分が論文を出版したことのある or 提出したことがある学術誌から依頼が来ます。ただ、これまで自分が読んだこともないような学術誌から、突然依頼を受けることもありますΣ(゚ロ゚ノ)ノ 審査依頼は断わらないのが学術界で生きていくための基本ルールと考えますが、他の学術誌より依頼された論文審査が現在進行中だったり、あまりに審査対象の論文が自分の専門とかけ離れているときは、断ってもよいというコンセンサスがあるようです。審査依頼を断る際に、電子システム上これらの理由があらかじめ選択肢に組み込まれており、プルダウンして選べるようになっているからです。

 

審査依頼を受諾すると、大体1か月以内に審査結果を学術誌の編集者(editor)に提出するよう求められます。審査対象の論文に対して、5段階あるいは10段階でliterature review, theory, methodology, discussion, 論文全体のcontributionなど各項目を評価したうえで(学術誌によって評価の基準や項目は異なる)、3種類の審査結果 Accept(修正なしの合格)、Revise & Resubmit(R&R 修正後再提出)、Reject(不合格)のうち1つを示し、その理由をコメントとして添えます。ただ、acceptをいきなり選ぶことはなく、どんなに良い論文でも一度はR&Rという結果を示します。R&Rを示した場合、どこを修正するのか著者に説明する必要があるため、自分の場合は5日間ぐらいかかる大作業となります(´Д`)

こんな大変な審査作業ですが... 無料なんです!!!腑に落ちないのが、上記リンクのとおり、出版社が学術誌に高い購読料を設定して、大幅に儲けているという事実です(о`э´о) 審査は今後もボランティアでいいですけど、それを出版社が利用して儲ける仕組みは許せない!また購読料を支払っている大学・研究機関等に所属していないと、有名学術誌の論文が読めないなんて、研究者たちは何のために必死に研究するのか分からない(T-T) デジタル時代において世界中の多くの人が論文を読むことができ、ともに知を共有・発展させるような仕組みを是非作ってほしいですm(_ _)m