国際派行政学者の挑戦

慶應SFCの教員。才能ないなりに世界レベルの行政学者を目指す40代独身男(負け組)のブログ -月1回ぐらい更新-

行政研究のフロンティア:次世代への情報発信

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4月に国際大学に赴任するまで力を入れて作成していたのが、本ブログ右側にも記載のある『行政研究のフロンティア』というホームページです。特に目立った学歴もなく、実務・研究でも失敗ばかりの自分ですが、国内では一応世界レベルを垣間見れる数少ない行政分野の研究者ということは自覚して、今後必ず現れるスーパーあるいはハイパーな日本人行政研究者のために情報発信だけはしておこうと考えた次第です(^ ^;

 

従来の日本行政学は、外来の学問である行政学を、日本固有の歴史・文化・制度に合わせて国産化することを目指しており(真淵2009)、日本の行政研究者が国際ジャーナルに英語論文を掲載することは稀でした。一方で、お隣り韓国・中国の行政学は、国内外を問わず国際ジャーナルへの論文掲載を第一の業績として研究が進められており、特に韓国は行政のデジタル化(e-government)の分野で世界をリードしています。

 

日本行政学の国際的認知度の低さは、日本人研究者が無能であることを意味しません。また、国産行政学の価値が低いことも意味しません。ただし、国産行政学は、欧米韓中が牽引する国際行政学と大きく異なることは事実です。そして、これは国産行政学の教育を受けた日本人研究者が、英語で行政論文を書くコストを高めています。英語力の向上に加えて、国際的な理論発展の理解や日本行政学ではほとんど使われない統計分析手法の習得が、英語論文を高いレベルで出版するための障壁を高くしているように思います。大学で任期なしの教授職を持つ研究者が、高いコストを払って世界を目指すインセンティブは低く、これまで通り国産行政学を教え研究し続けることとなり、国産行政学と国際行政学のギャップが更に拡がる可能性もあります。

 

上記の状況を1人で打開するのは無理ですし、自分は海外帰りで偶然トップジャーナルに論文掲載しただけの1と1/4発屋で、日本行政学界に影響力がありません。一方で、大変幸いなことに、文部科学省が、日本の大学の世界ランキングを上げようとスーパーグローバル大学創生支援を通じて、国際化を牽引しうる東大、京大、、、国際大学のような教育機関補助金を配布しています。国際競争を続けてきた自然科学にとどまらず、社会科学でも国際的に通用する研究をしようという機運は高まっています。そんな中、一部の若手行政研究者が、今後英語論文を書くことに強い関心を持っていることを知りました。そして、個人的にはその中の数人に対し、今後国際的に活躍しうる高いポテンシャルを感じていますd(-д☆)

 

そんなわけで、今後自分が日本から世界レベルの行政研究を続けるためにも、同じ志を持つ仲間がいた方が楽しいだろうし、対外的にも自分勝手に研究するよりは、日本のために何かしてますアピールをして色々な人に褒めてもらいたいという主に個人的な理由から上記ホームページを作成しました( ̄▽ ̄;) 今後この研究グループを大きくしたいという野望は一切なく、細々とホームページ上の情報発信を続け、年2回関東・関西で勉強会と飲み会を通じて、自分の知識を若手研究者とシェアする自慢する予定です。自分より優れた国際派行政学者が登場するまでの繋ぎ的役割は、楽しくできる範囲で担っておこうと思います。

Reference

真淵勝. 2009. 行政学. 有斐閣.