国際派行政学者の挑戦

慶應SFCの教員。才能ないなりに世界レベルの行政学者を目指す40代独身男(負け組)のブログ -月1回ぐらい更新-

五条悟の領域展開に関する考察

最近Twitterやnoteなどで研究者が、自らの理論・分析を分かりやすく発信することが多いようです。そこで、たまには研究者らしく、本ブログでも独自の考察を披露してみようと思いますd(- -)

 

ジャンプ系アニメの必殺技といえば、『ドラゴンボール』の「かめはめ波」のように、自らのエネルギーを放出し相手を吹き飛ばしたり、『ジョジョの奇妙な冒険』の時間を止めるスタンドのように、相手の動きを制限したりする技が多いです。

 

昨秋から今春にかけて放送されたジャンプ系アニメ『呪術廻戦』は、これまでの必殺技の概念を覆しました。作中最強キャラとされる五条悟の必殺技「領域展開 無量空処」は、奪う、消す、制限するのではなく、全てを与えるのです!

 

「領域展開」は、自らの領域に相手を引き込み、攻撃を必中にする呪術の総称です。例えば、アニメ第7話では、火山のような姿の呪霊(敵)が、マグマの流れる領域に五条悟を引き込み、攻撃を当てようとします。これは日常でもよくあることで、会社や大学の会議において、なるべく経験豊富な分野あるいは専門の領域に引き込み、議論を展開しようとします。

 

マグマの領域に対抗し、五条悟も自らの領域を展開し、相手を圧倒します。その領域はまさに無限... 全ての知覚が限りなく与えられるのです。無限に流れる情報を処理しきれず、相手は動けなくなってしまいます!

 

ここで興味深いのは、無限を自分の領域にすることの意味です。火山の特性を持った呪霊が、マグマの領域でより力を発揮するのは理解できます。行政学者である自分が、行政について他の話題より雄弁に語るのは至極当然です。しかし、五条悟は、何かに焦点を当てて術を展開させるのではなく、無限を与え処理しうる天才だということです。

 

特化しない、特徴を持たない。それは一部の天才に許された特権です。振り飛車居飛車を問わず指しこなす棋士 羽生善治。打者、投手の双方をこなす野球選手 大谷翔平。そして、作中最強キャラクター(主人公の先生)として、無限の情報に自らを失わず悠然と立つ五条悟を描く作者も、また天才なのだと思います。