国際派行政学者の挑戦

慶應SFCの教員。才能ないなりに世界レベルの行政学者を目指す40代独身男(負け組)のブログ -月1回ぐらい更新-

正解を隠したい棋士

データ科学や機械学習の発展に伴い、ビジネスや研究・教育でも「最適解」を求めるような風潮が強くなったと個人的に感じています才能ない研究者にとって、益々世知辛い世の中になっていきそうです(-д-;) しかし、AIの活用が勝敗を分ける厳しい勝負の世界にあって、「正解」を求めず、「正解」を隠すことで40歳にして初めてトップ・グループ(A級)に昇り詰める男がいます!将棋のプロ棋士 山崎隆之八段です(≧v≦●)

 

出現可能局面数が10の226乗(諸説あり)という人間ではとても解析しきれない膨大なパターンを持つ将棋ですが、AIにより「最適解」のようなものが示されるようになっています。藤井2冠を含めAIをうまく活用した棋士がトップに立つと言われるなか、山崎八段はAIの研究手順を意図的に外すような独創的な将棋を指し続け、A級初昇級という快挙を成し遂げたのです!快挙達成直後に山崎八段が語った勝負哲学は、本当にユニークです:

 

"本質的な部分で言えば、僕は『正解』を求めてはいません... 正解を見つけるより、正解を隠す方に惹かれます。道が出来た将棋ならば、道を暗闇に落とし込んでしまいたい。地図があるならば、地図上のデータを無くしてしまった中で勝負したいんです。"(インタビュー元記事)

 

山崎先生には及びませんが、自分も行政で「最適解」みたいなものが現れたならば、それを暗闇に落として混沌の世界に持ち込みたいです(^ ^; 「最適解」を導き出す力がないゆえの嫉妬かもしれませんが、多様な人間が暮らす社会で、最適かよく分からない異なる別の何かを示してみたいと思うのです。