国際派行政学者の挑戦

慶應SFCの教員。才能ないなりに世界レベルの行政学者を目指す40代独身男(負け組)のブログ -月1回ぐらい更新-

タジキスタン:平和を噛みしめる人々

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首都ドゥシャンベの中心街を丘から

3月2日夜に9日間に及ぶタジキスタン出張から戻ってきました。標高5000~7000m級の山々に囲まれた国で、人口は800万人ほど。1992~1997年の内戦により、国民の約10人に1人が亡くなった悲しい過去を引きずる国です。内戦後はラフモン大統領独裁のもと、平和を構築していますが、経済発展は進まず、国民の平均年収が4万円を下回る中央アジアの最貧国です。

 

出張の目的は、先週記事で書いた通り、日本政府の奨学金により本学に留学する若手公務員を選考することでした。面接だけでなく、公務員を派遣する関係省庁に本学の修士課程の内容を説明したり、選考に携わるタジキスタン人事院、大統領府、外務省、日本大使館国際協力機構などに面接結果を説明するなど、滞在中は忙しい日々を過ごしました (^ ^;

 

上記のような歴史もあり、タジキスタンに暗いイメージを持つかもしれませんが、結構陽気で適当な公務員も多く、本学留学後に怠けて勉強しない人もいるので、選考には神経を使いました。月収1~2万円のタジキスタン公務員にとって限られた貴重な機会ですし、タジキスタン政府としても、支援する日本政府としても、「修士で得た知識を国の発展に活かしたい!」という志を持つ人に留学してほしいですからねd(- -)

 

業務の合間に散歩しながら街を視たり、英語が話せる限られた公務員(ほぼ全員タジク語とロシア語は話せる)と会話しながら、独裁とはいえ内戦後に平和を構築した現大統領への強い尊敬の念を感じました。「生きる」という選択肢を自ら選べない恐怖を味わった人々は、貧しさの中でも力強く生きていました。

 

最終日に3時間だけ自由時間があったので、趣味でもある博物館を見てきました。照明もなく、暖房も効いていない、小さな2階建ての博物館でしたが、シルクロードの始点に近い国の歴史・文化的価値の高さを見せつけられ、シルクロード終点出身の自分は圧倒されっぱなしでしたΣ(゚ロ゚ノ)ノ

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タリバンによるバーミヤン仏破壊後 中央アジア最大となった涅槃仏 (部屋が狭くて全体が撮影できない)

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6世紀ごろの美しい壁画 7世紀のイスラム教徒支配以降 偶像崇拝禁止のため 美術品の質が落ちる この壁画も一部顔がスクラッチされていて...もったいない(T-T)